レポート|飲食店による新しい挑戦 オンラインの酒場の秘密を探る

4月18日より始まった、“ワセエド酒場”。オンラインツールZOOMを用いて、早稲田・江戸川橋に店舗を構える飲食店オーナーが集まるチーム「ワセエド」がお酒を飲みながら、ときにはゲストや視聴者を交え、これからについて一緒に考えていく。まったく新しい触れ合いの“場”です。

緊急事態宣言下での取り組みとして、約一か月行われた“ワセエド酒場”。先日の最終回では「100人でカンパイ! カンパイで飲食店にエールを贈るオンライン飲み会」と銘打って、公開グループとし、100人には届かないまでも、34人のお客さんが参加。緊急事態宣言が解除され、各地で業務が再開しつつあることも加味すれば、かなりの人数が集まったといえるでしょう。

さて、その“ワセエド酒場”。筆者は第一回より、アルバイトという形で参加。参加者の慣れもあり、回を重ねていくにつれて、「これはおもしろいな」と思う点をいくつか発見することができました。本記事ではそれら特徴について、それらが如実にあらわれた最終回に注目し、紹介していこうと思います。


場所を超えた繋がり

一番大きな特徴で、これから挙げるすべてに通ずる利点でもあります。

オンラインツールZOOMを用いた飲み会というと、もはや当たり前のように浮かぶ“離れた場所で繋がれる”という利点。そもそもZOOMをはじめビデオ通話ツールがここまで流行したのも、家に居ながらにして遠くの人と会話できるツールだからこそ。しかし“ワセエド”にとっては、通常の意味に加えて、さらに別の意味を帯びているように感じました。

それは遠く離れた他の“地域”と繋がれるということ。ワセエドは早稲田・江戸川橋の地域飲食店が集まって構成されているという特性上、影響は早稲田・江戸川橋から離れていくにつれ、徐々に薄まってしまいます。しかしZOOMなら早稲田・江戸川橋に与える影響と同じ温度の情熱を、遠く離れた地まで冷ますことなく届けられるのです。

実際に最終回では北海道からの参加していた方がいらっしゃいました。また昨年まで江戸川橋で“Icon Village Tokyo”というお店を開いていた、同店のオーナー・南雲さんは活躍の場を移した長野から参加。ワセエドのメンバーとして、酒場を盛り上げてくれました。まさに“ワセエド、拡がる”。熱や雰囲気が全国に届く、地域に根差したワセエドだからこそ、他の地域へと拡がる利点があるように感じられたのです。

挑戦をためらわない連合”ワセエド”

飲食店がまるで連合のように協力し、ZOOMで話し合う様子をYouTubeでLive配信をする。これまでにない事例に挑戦したワセエド。過去には“まかないフェス”や、“ワセエド収穫祭”など、新しいイベントを行っていましたが、とうとうデジタルの世界に進出です。

放送中にも様々な企画を発案、話し合っており、これまで以上に、挑戦し新しさを求める姿勢を感じられました。ワセエドの雰囲気に引き寄せられてか、ワセエドに属していないお店のオーナーたちが遊びに来てくれ、PRする時間も存在。Live配信されていたこともあり、視聴や参加した方々に「“ワセエド”っていう、なんでも受け入れて力にしちゃう、なんだかおもしろいグループがある」という印象を持ってもらえたのではないか? と思っています。

飲食店との垣根がなくなる

普段お店に行った場合、オーナーとの間には厨房やカウンターなど、物理的にも心理的に垣根が存在します。しかしワセエド酒場はオンラインのため、垣根がまるで存在しません。さらにオーナーたちは楽しく飲んでいることから、一個人として接することができたように感じます。例えるなら同じお店の隣のお客さんのような、親戚のお兄さんのような、そんな身近な存在。通常、かなり通いつめなければ、身近には感じられないでしょう。しかし今回はオンラインでの繋がり。だからこそ一気に身近な存在へと至れたのです。

最終回中盤では“食で縁を繋ぎ、縁で人をつなぐ”をコンセプトとした、食のグループSHOCK部をはじめ、たくさんの人でチャットがにぎわい、「お店いきたい」「料理がすごくおいしそう」とコメントが打たれ、オーナーたちはそれぞれ反応し、お礼を返していました。また、各お店の常連さんたちにより「~がおいしいよ」「こういう場所だよ」など、お店を通して新たな交流も発生。最終回直前、4回目の放送では“早稲田のまちを元気にしたい”とクラウドファンディングを行う学生が参加し、実際にお店のオーナーたちとの会話もされていました。

チャットも絶え間なくながれ、多くの交流がなされた

さまざまな参加者との交流の様子から、それぞれのお店がただの飲食店ではなく、血の通ったストーリのあるお店へとして、認識していただけたのではないでしょうか?


最後に個人的な感想となってしまいますが、アルバイトの筆者にとってなによりの特徴は、楽しい空間であった、ということ。毎週楽しくゆるっと騒いでくれたから、土曜日の21時からを楽しみに、緊急事態宣言下を乗りきることができました。これからも“ワセエド”は斬新な挑戦を続けていくことでしょう。今後の彼らの活動に期待です!!

Follow me!