【レポート】文京区のまちづくりをカードで楽しく考える「ローカルダイアログ」

まちの未来を対話を通して考えるカードゲーム「LocalDialogue」(ローカルダイアログ)で、文京区のまちづくりを考えるオンライン体験会を開催しました。コロナショックにより目まぐるしく変化する私たちの生活のなかで、自分たちが住みたいまち、暮らしたいまちの姿を考える必要性が高まっています。Zoomを活用することでオンラインでの対話をどのように深めていくのか、実際の様子をレポートしてみます!

LocalDialogueとは?

「LocalDialogue」はカードを使って誰でも楽しみながら対話に参加できるツールで、Zoomを活用してオンラインで実施することができます。
また、進行役のファシリテーターが必要なワークショップです。今回はLocalDialogue事務局のメンバーがファシリテーターを務めました。
(地域のプレイヤーがファシリテーターとして継続したまちづくり活動ができるように、養成講座を受講した公認LDファシリテーターの認定も行なっています)

LocalDialogueのワークショップでは、下記の3つのツールを使いながらワークを進めます。

◆使用するツール
①まちのビジョンカード
②ダイアログカード
③ダイアログマップ

上記のツールは全てパワーポイントの資料として1つにまとめてあり、ファシリテーターがパワーポイントを用いて進行していきます。

◆体験会の流れ
①目指したい「まちのビジョンカード」を選ぶ
②「ダイアログカード」を用いて対話し、マップにカードを並べる
③「まちのビジョンカード」を実現するための「ダイアログカード」を選ぶ
④ビジョン実現のための実践プランを考える

体験会では2時間ほどかけて、上記の流れで対話を進めていきました。

文京区のまちづくりを考えよう!

今回のテーマは文京区ということで、文京区にお住まいの方や仕事場のある参加者を中心に10名ほどがご参加されました。だいたい1つのテーブルあたり5名ほどになるように人数調整するため、Zoomのブレイクアウトルーム(参加者を複数グループに分ける機能)を活用して、参加者を2つのグループに分けて進めました。

まずはファシリテーターから体験会の概要やワークショップの楽しみ方について説明をした後、グループを分けてワークショップ開始です!
各グループにはパワーポイントを操作しながら進行するグループリーダーがいて、リーダーがパワーポイントを画面共有しながら進めていきます。

①目指したい「まちのビジョンカード」を選ぶ

ネームタグを使って誰がどのカードを選んだか可視化しておくと、対話のきっかけが作りやすくなります

まずは、12枚のまちのビジョンカードの中から、目指したいまちの姿を表す3枚を対話で選んでいきます。
私たちのグループでは、はじめに1人3票で投票していただき、なぜそのカードを選んだのかを各自に紹介していただく方式にしました。例えば子育て世帯の方からは「この時期だからこそ子育てだけでなく地域の助け合いをセットで考えたい」というお話や、別の方からは「社会の変化に適応していくためにはチャレンジできる環境と持続可能な地域が大切だと思う」というお話がありました。

複数の票を集めたカードがそのまま選ばれることもあれば、お互いに理由を聞くうちに全然別のカードが選ばれることもあります。

今回、私たちのグループでは、
「おかげさま・お互いさまの気持ちで自然と声掛けや助け合いがあるまち」
「地域の資産(自然・文化・歴史・人材・産業)を守り活かせるまち」
「新しいことにチャレンジできたりそれを応援できたりするまち」
の3枚のカードを選びました。

それぞれのグループで選び終わったら、一度Zoomのブレイクアウトルームを解除してグループごとの結果を共有するのですが、今回は見事にすべて別のカードを選んでいました!こうしたグループごとの違いを持ち寄ることで、多様な視点からのまちづくりを考えるきっかけができますね。

②「ダイアログカード」を用いて対話し、マップにカードを並べる

ダイアログカードは全部で69枚あり、体験会ではそのうち15枚を用います。ダイアログカードには、まちの現状についての質問が書いてあり、表裏がYes / Noになっています。

5つのカテゴリーごとに、カードの質問についてYesとNoどちらだと思うかを対話しながら、まちの現状を判定していくのですが、ここでもそう思った理由をお互いに聞きながら進めていきました。
例えば「仕事と生活のバランスが取れている人が多いと思う」というカードについて、「仕事偏重でプライベートをもっと大事にしたほうがいいいと思う」という意見もあれば、「そもそも仕事と生活以外にもいろんな状態がミックスされる時代で、バランス自体がもう無いのでは?」という意見もありました。

それぞれがどう思うのか、それはなぜか、というのを掘り下げていく対話のワークなので、答えはありません。答えがないからこそ、対話が生まれます。

他には例えば
「行政の様々な取組みに何らかの形で参画している人が多いと思う」
「子どもから高齢者まで多くの世代が参加できるような地域活動があると思う」
などのカードにも答えながら、グループとしてYes / Noをどんどん決めていきました。

③「まちのビジョンカード」を実現するための「ダイアログカード」を選ぶ

ここでもネームタグを使うことで対話を進めやすくします

Yes / Noを決めたら、ダイアログカードをマップに貼っていきます。カードは5つのカテゴリーに分かれているので、一覧化することでまちの全体像が明らかになります。

マップが完成したら、最初に選んだ3枚のまちのビジョンカードの中から特に実現したいものを1枚選びます。そのビジョンに対して、「No」のダイアログカードの中から「Yes」に変わったらビジョンが実現に近づくと思うカードを3枚選びます。「Yes」のカードからもっと高まればいいなと思うカードを選ぶことも可能です。
(体験版は1枚のみですが、フルバージョンでは3枚のまちのビジョンカードすべてで行います)

マップをじっくり見返しながら、ビジョン実現のためにどのカードが必要だと思うかそれぞれ選んでいただき、選んだ理由を紹介してもらいながら対話を進めました。

④ビジョン実現のための実践プランを考える

グループでは「おかげさま・お互いさまの気持ちで自然と声掛けや助け合いがあるまち」というまちのビジョンカードが選ばれ、それに対するダイアログカードを3枚選びました。

それぞれのダイアログカードに対して自分たちが実践できることを考えるのが最後のワークです。今回は時間の都合で「子どもから高齢者まで多くの世代が参加できるような地域活動があると思う」というカードのみを選び、実践プランを考えました。

高齢者が中心となっている町内会に変わる新しい仕組みがあったらいいのでは?というアイデアや、区民が地域活動を自主的に企画できるように制限などを緩めるという意見も出てきました。

参加者アンケートでいただいたご感想

「カードを通して話すので、短時間でも自分の意見を伝えやすかったです」
「立場が違うからこそ見えている地域の見方や、同じ子育て世代でも区の中の地域によって感じていることが違った意見など聞けて新鮮でした」
「ほぼ初対面の人と街のことについてたった2時間半でかなり深く話せたので、オンラインかつカードゲームはとても良いツールだなと思いました。高校生や高齢者と対等に意見交換するときに、この方式だとポジショントークなしに話せそうで多世代交流でもとても力を発揮してくれそうです」

などのポジティブなご感想をいただきました。

「相手のチームがどんな話が進んでいたのか、時間が有ればもっと聞きたかった」
「このダイアログの蓄積がどのように活用されるのか。展望を知りたかった」
「意見を言うだけにならない導線としてとても良かったが、ちょっと時間がかかりすぎかなと思いました」

などのご指摘もいただいたので、改善に繋げていきたいと思います。
ご参加ありがとうございました!

体験会を終えて

今回、参加者は文京区の方だけではなかったので、どんな対話になるのかと思っていましたが、1つの地域をテーマにしても他の地域の方も意外と参加しやすいと感じました。地域外の方が聞き役に回ったり、自分の住んでいるまちとの違いを紹介したりすることで、きちんと役割がありますし、何よりその地域の方たちだけでは得られなかった視点・学びが生まれます。
地域の住民を主体にしつつ、意図的に外の人を巻き込むようなスタイルも、今後ありうるかもしれません。(ファシリテーターもその意味では外の人です)

体験会の時間は2時間ほどですが、お互いに問いかけをしながら対話をしていくので、楽しみながらできる反面、結構疲れます。ワークショップ終了後には、参加者からも「頭を使ってカロリーをとても消費した」「濃い2時間だった」などの声が上がりました。

※ちなみに体験会はダイアログカードの枚数を4分の1に減らしているので、休憩をほぼ挟まず2時間ノンストップでやることが多いですが、フルバージョンの場合は日にちを分けて開催することもあります。

ちゃんとやるワークだからこそ、大事なことはそれだけのエネルギーを投資して力を集めて考えたまち全体の現状や実践プランを、そのまま放置しないこと。マップも実践プランも、きちんとデータ化することで次のアクションに繋げていく狙いがあります。

文京区における新たな住民から立ち上がった取り組みを、東京山の上大学などのまちの組織や行政とも連携しながら今後進めていければと思います!

今後の体験会

LocalDialogueの進行役となるLDファシリテーターは、養成講座を受講した方であれば誰でもなることができます。今回のような体験会も定期的に開催していますので、養成講座の参加をご検討のかたは、まずは一度体験会にぜひご参加してみてください。

体験会へのご参加、お待ちしています。一緒に全国のまちを対話で盛り上げていきましょう!
(Peatixからのお申し込みが必要です)

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